特殊ネジの種類一覧|用途や形状などもご紹介
ネジは私たちの生活に欠かせない重要な締結部品です。
中でも特殊ネジは、特定の用途や環境に適した設計がされており、様々な産業で重要な役割を果たしています。
本記事では、特殊ネジの種類や用途、形状について詳しく解説します。
特殊ネジの選び方についても触れますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
特殊ネジとは?
特殊ネジとは、一般的なネジとは異なる特徴や機能を持つネジのことを指します。
これらのネジは、特定の産業や用途に合わせて設計されており、通常のネジでは対応できない環境や条件下で使用されます。
特殊ネジは、その独特の形状や材質、機能によって、高い耐久性、強度、または特定の性能を発揮します。
特殊ネジの特徴として、以下のようなものが挙げられます。
・特殊な頭部形状
・独自の軸デザイン
・特殊な材質の使用
・特定の環境に適した表面処理
・独自の締結メカニズム
これらの特徴により、特殊ネジは様々な産業で重要な役割を果たしています。
次に、主な特殊ネジの種類について詳しく見ていきましょう。
主な特殊ネジの種類
特殊ネジには多くの種類がありますが、ここでは代表的なものをいくつか紹介します。
六角穴付きボルト
六角穴付きボルト(通称:六角穴付キャップスクリュー)は、ボルトの頭部に六角形の穴が開いているのが特徴です。
この設計により、ボルトの頭部が突出せず、フラットな仕上がりが可能となります。
また、六角レンチを使用して締め付けるため、狭いスペースでも作業がしやすいという利点があります。
【主な用途】
・機械部品の組み立て
・自動車のエンジン部品
・精密機器の組み立て
トルクスネジ
トルクスネジは、頭部に星型の溝があるのが特徴です。
この形状により、通常の十字穴ネジよりも大きなトルクを伝達することができ、滑りにくいという利点があります。
また、ドライバーとの接触面積が大きいため、ネジ頭の損傷も少なくなります。
【主な用途】
・電子機器の組み立て
・自動車部品の固定
・航空機産業
ピン付きトルクスネジ
ピン付きトルクスネジは、通常のトルクスネジの中心にピンが立っているタイプです。
このピンにより、一般的なトルクスドライバーでは回すことができず、セキュリティ性が高まります。
不正な分解や改造を防ぐ必要がある場合に使用されます。
【主な用途】
・セキュリティ機器
・公共の設備や機器
・特定の電子機器
リセスネジ
リセスネジは、頭部に特殊な形状の溝が刻まれているネジです。
この溝は、専用のドライバーでのみ締め付けや緩めができるように設計されています。
セキュリティ性が高く、不正な分解を防ぐ目的で使用されることが多いです。
【主な用途】
・高セキュリティが要求される機器
・公共施設の設備
・特殊な産業機器
タッピングネジ
タッピングネジは、ネジ山を持つ軸部が、ねじ込む際に母材に自らねじ山を形成する特殊なネジです。
予めタップでねじ穴を作る必要がないため、作業効率が良く、コスト削減にもつながります。
【主な用途】
・薄板金属の締結
・プラスチック部品の組み立て
・木材への固定
特殊ネジの用途別分類
特殊ネジは、その特性によって様々な産業で使用されています。
ここでは、主な用途別に特殊ネジを分類してみましょう。
建設・土木分野での特殊ネジ
建設・土木分野では、高い耐久性と強度が要求されるため、特殊なネジが多く使用されています。
コーチボルト:木材と金属を接合する際に使用される、六角頭で首下に角がある特殊なボルト
アンカーボルト:コンクリートや石材に埋め込んで使用する、頭部に穴やフックがついたボルト
耐候性ネジ:屋外での使用に適した、錆びにくい表面処理が施されたネジ
これらの特殊ネジは、建築物や土木構造物の安全性と耐久性を確保する上で重要な役割を果たしています。
電子機器に使われる特殊ネジ
電子機器の小型化・高性能化に伴い、特殊なネジの需要が高まっています。
マイクロネジ:極めて小さなサイズのネジで、スマートフォンやタブレットなどの小型デバイスに使用
導電性ネジ:電気を通す特殊な表面処理が施されたネジで、電子回路の接地などに使用
非磁性ネジ:磁性を持たない材料で作られたネジで、磁気に敏感な機器に使用
これらの特殊ネジは、電子機器の性能と信頼性を向上させるために欠かせません。
医療機器に適した特殊ネジ
医療分野では、衛生面や生体適合性を考慮した特殊ネジが使用されています。
チタン製ネジ:生体適合性が高く、軽量で強度もある特殊なネジで、インプラントなどに使用
滅菌可能ネジ:高温・高圧の滅菌処理に耐えられる特殊な表面処理が施されたネジ
放射線透過性ネジ:X線や CT スキャンなどの画像診断の妨げにならない材質のネジ
これらの特殊ネジは、医療機器の安全性と機能性を確保する上で重要な役割を果たしています。
特殊ネジの形状別分類
特殊ネジは、その形状によっても分類することができます。
ここでは、頭部形状と軸形状による分類を見ていきましょう。
頭部形状による分類
ネジの頭部形状は、使用目的や作業環境に応じて選択されます。
皿頭:頭部が平らで、締め付けた際に表面と同一平面になるネジ
トラス頭:頭部が丸くて低い形状のネジ
バインド頭:頭部が円筒形で、側面が垂直なネジ
六角頭:頭部が六角形で、スパナやレンチで締め付けるネジ
フランジ付き:頭部の下に円盤状のフランジが付いているネジ
これらの頭部形状は、それぞれ異なる特性を持っており、用途に応じて適切なものを選択することが重要です。
軸形状による分類
ネジの軸部分の形状も、使用目的によって様々なバリエーションがあります。
全ネジ:軸全体にネジ山がある
部分ネジ:軸の一部のみにネジ山がある
ステップネジ:軸の途中で径が変わるネジ
テーパーネジ:軸が先細りになっているネジ
ダブルエンドスタッド:両端にネジ山がある棒状のネジ
軸形状は、締結力や取り付け方法に大きく影響するため、用途に応じて適切なものを選ぶ必要があります。
特殊ネジの選び方
特殊ネジを選ぶ際は、以下の点を考慮することが重要です。
使用環境:温度、湿度、化学物質の有無など
必要な強度:荷重や振動に耐えられるか
材質:腐食や磁性の有無など
サイズ:取り付け部分に適合するか
締結方法:使用する工具や作業スペース
コスト:予算内で調達可能か
規格:業界標準や法規制に適合しているか
これらの要素を総合的に判断し、最適な特殊ネジを選択することが、製品の品質や安全性を確保する上で重要です。
不明な点がある場合は、専門家や製造業者に相談することをお勧めします。
まとめ
特殊ネジは、その独特の設計や機能により、様々な産業で重要な役割を果たしています。
六角穴付きボルト、トルクスネジ、タッピングネジなど、用途に応じて多様な種類が存在します。
建設・土木、電子機器、医療機器など、産業分野によっても適した特殊ネジが異なります。
特殊ネジを選ぶ際は、使用環境、必要な強度、材質、サイズなどを総合的に考慮することが重要です。
適切な特殊ネジを選択することで、製品の性能や耐久性、安全性を高めることができます。
特殊ネジの世界は奥深く、技術の進歩とともに新しい種類のネジが開発され続けています。
製品設計や機器のメンテナンスに携わる方々にとって、特殊ネジに関する知識を深めることは、より効果的で革新的なソリューションを生み出すための重要な一歩となるでしょう。
投稿者プロフィール

- 50余年に渡り培ってきた「ネジに関する知識や知恵」を提供していくことで、「安心・安全なものづくり環境」の実現に貢献してまいります。
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